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「EU CRAって何ですか?うちの製品、輸出できなくなるんですか?」——専門家に聞いてみた
制度解説対話で学ぶ9分

「EU CRAって何ですか?うちの製品、輸出できなくなるんですか?」——専門家に聞いてみた

登場人物

🏭 田中さん(製品開発部長・50代)——自社製品の一部を欧州の代理店経由で販売している。最近「EU CRA」という言葉を耳にして不安になっている。

🔒 佐藤さん(セキュリティコンサルタント)——大手コンサル出身の製品セキュリティ専門家。EU CRAの動向もフォローしている。

第1章:EU CRAって何ですか?

🏭 田中: 取引先の欧州代理店から「CRAへの対応はどうなっていますか」って聞かれたんですが、正直よく分からなくて。

🔒 佐藤: EU CRAは「Cyber Resilience Act」の略で、サイバーレジリエンス法と呼ばれています。EU市場で販売するすべてのデジタル製品が対象で、2024年に法律として成立して、2027年12月に完全適用されます。

🏭 田中: あと1年半くらいですか。

🔒 佐藤: 製品の設計変更やプロセス整備を考えると、そんなに余裕はありません。

JC-STAREU CRA
EU市場向け製品に求められるセキュリティ規制

第2章:何が求められるのか

🔒 佐藤: 大きく分けて4つの柱があります。

1つ目:セキュリティ・バイ・デザイン。製品の設計段階からセキュリティを組み込むこと。リスクアセスメントを行って、その結果を設計に反映するプロセスが必要になります。

2つ目:脆弱性管理の義務化。最低5年間、脆弱性を把握し修正パッチを提供する義務があります。脆弱性が見つかったら24時間以内にENISAに報告する義務もあります。

3つ目:技術文書の整備。リスクアセスメントの結果、採用したセキュリティ対策、テスト結果などを文書化する必要があります。

4つ目:CEマーキングとの統合。CRAに適合した製品はCEマーキングの対象になります。

第3章:うちの製品は対象になるのか

🔒 佐藤: ネットワークに接続するデジタル製品はほぼすべて対象です。ただし製品によってリスクのカテゴリ分けがあります。

カテゴリ対象例適合性評価
デフォルト一般的なIoT機器、スマート家電自己適合宣言が可能
重要(クラスI)ルーター、ファイアウォール、産業用IoT整合規格に基づく自己評価 or 第三者評価
重要(クラスII)OS、産業用制御システム、スマートメーター第三者評価が必要
極めて重要スマートカード、HSM、セキュアエレメント欧州サイバーセキュリティ認証が必要

だからこそ、規格の完成を待たずに今できることから始めるのが正解なんです。

第4章:JC-STARとの関係

🔒 佐藤: 直接の互換性はありませんが、求めている内容にかなり共通点があるんです。

  • デフォルトパスワードの排除 → JC-STARでもCRAでも要求
  • セキュリティアップデートの提供 → 両方とも必須
  • 脆弱性の受付体制 → 両方とも求められる
  • データの暗号化 → 両方ともカバー

JC-STARの★1取得をフェーズ1のゴールに設定するのが賢いやり方です。JC-STARの準備がそのままCRA対応の第一歩になります。

JC-STARとCRAの共通要件から着手する

第5章:今から何を準備すべきか

🔒 佐藤: 現実的なステップはこうです。

フェーズ1(今すぐ〜3か月):現状把握

  • 対象製品の洗い出し(EU向けに販売しているもの)
  • JC-STARのチェックリストで自社製品のギャップ分析
  • 脆弱性受付窓口の設置
  • アップデート提供方針の文書化

フェーズ2(3〜6か月):体制構築

  • 脆弱性対応プロセス(PSIRT機能)の整備
  • セキュリティ開発プロセスの見直し
  • 技術文書のひな形作成

フェーズ3(6〜12か月):適合準備

  • リスクアセスメントの実施
  • 技術文書の完成
  • 適合性評価の方法の決定
  • 必要に応じて製品の設計変更

第6章:違反したらどうなるのか

🔒 佐藤: 罰則はかなり厳しいです。

  • CRAの基本要件に違反した場合:最大1,500万ユーロまたは全世界売上高の2.5%
  • 報告義務違反:最大500万ユーロまたは売上高の1%

CRAに適合しない製品はCEマーキングを貼れないので、EU市場で販売できなくなるんです。だから「対応しなくてもいいか」ではなく、「いつから対応を始めるか」だけが問題なんです。

まとめ:EU CRA対応の3つの出発点

#やること目的
1EU向け製品のリスト化対象範囲の把握
2JC-STARチェックリストでギャップ分析CRAとの共通要件を先に潰す
3脆弱性受付窓口とアップデート方針の整備最も基本的な要件への対応

🏭 田中: JC-STARから始めて、CRAに広げていく。この順番なら現実的にやれそうです。

🔒 佐藤: 今日やったことが1年後に効いてきます

自社だけで進めるのが難しいと感じたら

「CRAの要件が自社製品にどう当てはまるか分からない」「JC-STARとCRAのどちらから手をつけるべきか判断できない」——そんな場合は、外部の専門家と一緒に整理するのも現実的な選択肢です。

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